バイクのタイヤの適切な空気圧は?

バイクの空気圧ですが、適正空気圧と呼ばれる
「このバイクにはこれくらいの空気圧で入れるといい」
という値が車両ごとにそのメーカーから指定されており、
この適正空気圧どおりに空気を入れることでメンテナンスいたします。

適正空気圧は、そのバイクのタイヤ付近のフレームや
チェーンガードなどに貼られたラベルに表記されています。

ラベルを紛失したり、なかったとしても
その車体ごとのサービスマニュアルと呼ばれる
専用の整備書に整備情報として明記されています。


空気圧を使い分ける

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バイクのタイヤには
メーカーの指定する適正空気圧がありましたが、
「空気圧を使い分ける」というのはどういう意味なのでしょうか。

実際に生活や趣味の中でバイクに乗っていくとき、
さまざまな目的や用途があることでしょう。

普段の足やサーキット、
峠道や高速道路をこえる旅路などさまざまな状況があります。

多様な環境の中で唯一路面に接する部品でもあるバイクのタイヤで、
よいパフォーマンスや事故の防止について考えたとき、
それぞれの場面ごとに「空気圧を使い分ける」
必要が生まれてくるのです。


低めの空気圧

バイクの空気圧を使い分けようと考えたとき、
適性の空気圧よりも低めにセッティングする場合
というのはどのような時でしょうか。

空気圧について考えるときは
タイヤの仕組みについて考えてみるとよいでしょう。

バイクのタイヤの空気圧を低く設定すると、
タイヤのタイヤ外部に対する張りが弱くなり
タイヤが変形しやすくなります。

タイヤの形状が変形しやすくなるということは、
バイクに乗っているときの路面に対するタイヤの食いがよい、
つまりグリップ能力が向上します。

しかし空気圧が低い状態というのは
必ずしも良いものではなく、
路面の釘やガラス片などの鋭利な落とし物も、
タイヤの空気圧が低いことによりたわんで
接地面積が大きくなった状態だと刺さりやすくなります。

また接地面積が大きくなるということは、
車体を動かすのに必要な力も増えるために
バイクの燃費も低下してしまうため、
過度に空気圧を下げることは
グリップ力以前に車体の能力を
下げてしまうことにもつながります。


高めの空気圧

低い場合とは反対にバイクの空気圧を高めに
セッティングするとどのようなことが起こるでしょうか。

この場合、基本的には仕組みとして
低く空気圧をセッティングしたときと
反対の効果があると考えていいでしょう。

タイヤの空気圧を高めにセッティングすると
タイヤの張りが強くなり、
路面に対する接地面積が減ります。

これにより低い場合に対しては必然的に燃費が上がり、
消耗部品であるタイヤの減りも少なくなり、
さらにハンドリングも軽快で軽いものになります。

しかしその反面、
タイヤの抵抗が少なくなりグリップが弱まり、
停車時や減速時などもブレーキを強めに
もしくは早めに握る必要が出てきます。

また、過度な高い空気圧の設定は、
タイヤが劣化してきた際や、
段差を乗り越えるなど走行中の衝撃で圧力がかかった際など、
タイヤが破裂する危険もあります。


峠を走るとき

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スポーツバイクで走行を楽しむときや、
アメリカンバイクで風景を味わうとき、
またはオフロードバイクで林道を楽しむときなど、
ツーリングする時に良く通るのが「峠」。

そこではどんな空気圧のセッティングがいいのでしょうか。

うねった峠道を想像すると、
空気圧を低くして滑らないようにしたいと感じる方も多いでしょう。

しかしコーナリング性能について考えたとき、
接地面積が大きいと面積当たりの圧力が下がってしまいます。

コーナー内では様々な方向の力が
車体とドライバーに加わるため、
タイヤを強く路面に押し付けることが
姿勢を安定させて維持するのに必要となります。

ただ、タイヤの広い接地面積によるグリップ性能は
発進時や減速時に路面をしっかりととらえてくれます。

コーナーをうまくこなす技術として
ブレーキの扱いはとても大切なものなので、
空気圧を低くすることは間違いではありません。

よって結果的には適正空気圧、
もしくはそれより少し低いくらいが
峠を走行する上でベストな空気圧といえます。

低すぎると逆に車体を支えられずに滑ってしまったり、
高いと木陰の湿った落ち葉や傷んだ路面などで
滑ることがあるので注意する必要があります。


サーキットを走るとき

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サーキットを走るということを想像すると、
テレビの向こうで見るような
レースのことを思いつく人も少なくないでしょう。

しかし実際に予約したり解放された
サーキット場ではレースばかりではなく、
サーキットでの走行を楽しんだり、
バイクの運転のスキルアップに走る方が多いのです。

こうしたサーキット場での魅力として、
普段はできないようなスポーティーな走行を
行えることが挙げられるのですが、
これは普段よりも大きな負荷がドライバーやバイクにかかるのです。

普段よりも速度が上がるため
タイヤに加わる摩擦などによる熱が高くなり、
また温度が高くなることにより空気は膨張するので、
タイヤの空気圧が自然と上昇します。

これにより車体が弾んでしまったり、
接地感が感じずらくなることによる
運転の不安が生じる場合などがあるため、
サーキットでは適正空気圧より
1割程度空気圧を下げておくとよいとされています。


高速道路での空気圧

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普段の生活で、
単なる移動やツーリングなどによる
高速道路の利用は少なくありません。

速い速度で遠くまで行ける高速道路は
とても便利なものですが、
普段とは違う速い速度の中では
整備不備による事故などは命取りとなります。

高速道路においての空気圧がどれくらい必要か、
結論から言うと適正空気圧の1割程度上げると良いです。

これは長距離走行のための燃費改善と、
空気が自然に減ることによる空気圧の低すぎを防止するためです。

空気圧が低いとタイヤの表面が波打つ、
スタンディングウェーブ現象というものに陥り、
最終的にはタイヤが破裂します。

ただ逆にタイヤに空気を入れすぎても
高速走行中に車体が弾んでしまったり、
グリップ性能が下がることによってタイヤがスリップしたり
急制動に支障が出たりもするため、
1割から適正程度の空気圧を維持することが大切です。


バイク車種別でのタイヤの空気圧の使い分け

バイクの空気圧は用途によって、
圧力の高さや低さを管理する必要がありましたが、
車両によってその空気圧の使い方が変わってくる場合もあります。

そうしたバイクの中でも、オフロードバイク、
原動機付自転車(50cc)についてまとめてみました。


オフロードバイク

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オフロードバイクに乗る楽しみや目的として多いのは、
やはりその名の通りのオフロード走行でしょう。

普段から舗装されていない道などを走る人というとなかなかおらず、
選択肢にあまり入ることのない車種ですが、
軽く取り回しの良い車体や悪路でも
壊れない頑丈さから常に一定の支持層を得ています。

そんなオフロードバイクですが、
一般の道を走るときと舗装のされていない道路を走るときとでは
車両のセッティングの仕方が変わってきます。

舗装のされていない道路を走行するとき、
オフロードタイヤを履いたオフロードバイクといえど
メーカーによる適正空気圧のままではスリップしてしまい、
ひどい道では進むことすらままなりません。

道によりますが、多くの場合は空気圧を2割ほど落とし、
バイクのグリップの具合によっては
さらに落とすといった方法をとると良いでしょう。

また、そこから一般の舗装された道路へ出る場合に
空気圧が低いとタイヤの激しい摩耗やパンクの危険性があるので、
状況によって空気圧を変えるために
空気入れを携帯するようにしましょう。


原付(50cc)

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多くの人が通勤や通学、
普段の足として利用している原動機付自転車ですが、
このバイクの場合は、空気圧について
どのようなことに注意すると良いでしょうか。

原動機付自転車はなかなかスピードの出ないことや、
取り回しのよく軽い車体から、
そう大きく壊れることはありません。

そのために気付いたら調子が悪くうまく走れないなど、
トラブルが起きるまで故障に気が付かないケースがよくあります。

その中でも特に多いものとして
タイヤの空気漏れがあります。

パンクと間違われることが多いですが、
空気圧が低くなりすぎたことによって
ホイールとタイヤに隙間ができてしまうことにより起こるものです。

こうした急なトラブルを防ぐためには
日ごろからのチェックが不可欠です。

毎回バイクに乗る前に乗車前点検として
確認することが推奨されており、
忙しく難しいですが最低でも
月に一度の空気圧は行うようにしましょう。


日ごろの整備を忘れないことが大切

趣味や日常生活をとても豊かにしてくれるバイクですが、
安全に長く乗るには日ごろの整備点検が不可欠になります。

難しいことではなく、
空気圧をはかったり目に見える異変がないか、
よく確認するだけで、
大きなトラブルを防ぐことができます。

状況に合わせ空気圧を使い分ける場合もありますが、
一般的に道路を走行するときは
メーカーの指定する適正空気圧に従うことが安全につながります。

自身のバイクの適正空気圧をよく知り、
それを忘れずに管理することが大切なこととなります。